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学生インターンが気になる社員にインタビューしてみた!番外編

趣味も仕事もイノベーション

-永遠のDoer-(前編)

宮島勇也

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 皆様、ご無沙汰しております。

Panasonic学生長期インターン生の安西咲百合です。

今回は、私が1年間お世話になったインターンの上司である宮島勇也さんにインタビューをさせていただきました。

前回、読者の皆様にアンケートを取らせていただいたところ、次回のゲストの希望欄に「宮島さんって何をしているの?」

「宮島さんお願いします!」と記入されている方が非常に多かったため、宮島さんにお話を伺いました。


この記事を通して、「宮島さんがなぜ新規事業やコミュニティ創出に熱心に取り組まれているのか」

「どのようにしてイノベーターになったのか」について知っていただけると嬉しいです。

インタビュアー

Panasonic学生長期インターン 安西咲百合

関西学院大学社会学部3回生

Panasonic Woman’s Network・Boost Contest運営メンバー

アイスブレイクを盛り上げるノーコードアプリ「シャベロカ」を作成

大学ではフィールド社会学を専攻し、兵庫県西宮市のまちづくりに関わる。

就活支援カフェ「知るカフェ関西学院大学前店」に勤務。

シャベロカ

Fluency In Ai Innovations Concept Icon

ゲスト

宮島勇也さん

パナソニックホールディングス株式会社 マニュファクチャリングイノベーション本部 ラピッドマニュファクチャリング推進室に所属。

1982年、消防士の長男として生まれ、2005年に東レエンジニアリング株式会社入社。世界初の超音波浮上技術を実用化に成功。

2016年、パナソニック株式会社 デバイスソリューション事業部 生産技術部に主任技師として入社。

現在は、趣味イノベーションで社内外の様々なプロジェクトをDoerとして推進中。2023年、パナソニックグループ社長賞3つを同時受賞。4児の父でもある。

<これまで関わられたコミュニティ>

  • 経産省主催国家プロジェクト「始動 Next Innovator2018」第4期生
  • One Panasonic幹事
  • 社内インキュベーションサークル BOOST 発起メンバー
  • 社内有志組織 航空宇宙事業本部 創設メンバー
  • キャリア同期会「キャリクロ」創設者&CEO
  • 社内女子会「Panasonic Women's Network」創設者
  • 滋賀県大津市の暮らしを考える「Otsu Living Lab」創設メンバー
  • DAO(自律分散型組織)研究会 創設メンバー
Business Challenge and Success Concept
Simple Lined Boy Lifting a Box

目次

  • 僕の趣味はイノベーション


  • 無自覚イノベーターはアルバイトから誕生


  • 数々の社内有志団体を立ち上げたきっかけ

僕の趣味はイノベーション

安西:


宮島さん:




安西:




宮島さん:


















安西:


宮島さん:










安西:





宮島さん:

改めて、自己紹介をお願いします。


パナソニックホールディングス マニュファクチャリングイノベーション本部 ラピッドマニュファクチャリング推進室っていう面倒くさい名前の部署で、新規事業のプロトタイプの受託制作などを行って、新規事業開発の加速を目論んでいる宮島と申します。趣味はイノベーションです。


趣味イノベーション!去年9月に初めて宮島さんとお会いした際に、「趣味イノベーションってなんだろう?」と衝撃を受けました。趣味イノベーションとはどういうことか、改めて教えてもらってもよろしいですか?


趣味イノベーションには、二つの意味があります。

まず1つ目は趣味でやっているので、何か仕事でやっているのでなく、好きでやっているっていうことです。もうそのまんまですね。土日も、自分の学びと経験値を上げるためにそのイノベーションに関わることを地域や他の会社さんともやっています。

2つ目は、僕がパナソニックに転職した後に起こったことが大きく関係しています。7年前にパナソニックに転職をしてきて、転職者は他社からの来た人なので古い組織だったりするとくさびになってねと言われるんですね。実際くさびになるに、「今世間ではこうですよ」「こういうふうにうまいこと他社がやっていますよ」みたいなことを言ってたんですが、全然響きませんでした。具体的な提案をしても出る杭を打たれて、全然聞いてもらえないので、「それだったら従順な部下に徹しよう」と思ったのが大体入社2年目ぐらいでした。2年目は従順な部下をやっていたんですが、普通の業務をやっていて、その業務も思考が余ると改善したくなるので、業務改善をバンバンやると改善しすぎて暇になってくるんですよ。その時間で新たな学びを吸収するために多様な研修を受けるようになって、そこで新規事業の基礎となるような研修を受けました。そこで、こういう風に事業提案すると分かったんですが、それを業務としてやると、上司の許可なども必要になってくるんですが、もちろん業務として出来ないんです。

そこで、「趣味でやります!」って言うと、上司たちが止められないことが分かったので、定時外や休みを取り、プライベートの時間に事業提案活動などをして人や組織に縛られないところで自由に動きました。なので、ずっと「趣味でイノベーションをしています」と言うようにしてます。


最初はどのような事業提案をされていたんでしょうか?


一番最初は、研修でチームで作った事業提案で、超速充電器を提案しました。

EV用の急速充電器の充電の出力が、そのまま充電時間にかかるんですが、EVが発売してから何年も充電電力が上がらないという課題がありました。そこで、我々のチームのアイデアを通してその出力を一気に7倍にする事業提案を行いました。その提案により、コンビニで買い物をする数分間で何百キロも走れるぐらいの充電ができる世界観を作れます。そこで、コンビニなどに充電ステーションを設置させてもらい、そこで電気を売る売電ビジネスが実現すれば、めちゃめちゃ儲かりますというビジネスモデルを作りました。しかし、研修だったのでそこの事業部長に提案していたんですが、何とも返事がなく、やらしてもらえない上に辞める辞めろとも言われなかったため、組織内で新規事業をやるのに限界を感じました。それ以降は、個人で他のカンパニーに事業提案を持っていくことをしていました。


積極的に自分の足で新規事業を開拓されていたんですね。

そこまで熱心に追及される探究心や趣味イノベーションと言い切り土日もイノベーションに捧げている宮島さんを見て、「イノベーションを心から愛しているんだな」という風に私は思っているのですが、そこまで頑張れる理由やきっかけはありますか?


そうですね。一番はパナソニックに来て「もったいない会社だな」と思ったんです。他社にいたときは、外からパナソニックを見て、「すごい会社だな」って漠然と思っていたんです。でも、入ってみたら、商品だったり、人だったり、技術だったり、設備だったり、ブランド力もあるのに、中の人は全然自信がなくパナソニックを使いこなせてないことに衝撃を受けました。当時、買収や不祥事により、大手家電メーカーの元気がどんどんなくなり、「ものづくりが日本に残らないかもしれない」という危機感がありました。もっとうまく使えばもっと新しいことが生まれるという部分で面白みがあり、「僕ならそれができるかも」っていう可能性を信じて、イノベーションを続けています。




土日もイノベーションに関わるほど

趣味イノベーションを公言されている宮島さん

Innovation and Research
Hand Drawn Batteries

無自覚イノベーターはアルバイトで誕生

Swimming Pool Lifeguard
Convenience store flat illustration
Delivery Man with Mask Handing Pizza

安西:





宮島さん:



安西:




宮島さん:














安西:

 


宮島さん:












安西:


宮島さん:









安西:




宮島さん:











安西:

確かに、私は宮島さんの口から「これはできないから諦める」という否定的な発言は一度も聞いたことがありません。イノベーションをする=今まで誰もやったことないことに挑戦することだと思うので、“自分を信じること”もとても重要になると感じます。宮島さんが自分自身を信じ続けられた秘訣はどこにあるのでしょうか?


僕は大学生の時にコンビニ店員・プールの監視員・ピザの配達員などのアルバイトをしていたんですが、そこで先輩達に色々教えてもらいながら試行錯誤をした経験が根底にあると思います。


コンビニでしたりプールの監視員・ピザの配達員などを沢山アルバイトされる中でどのように試行錯誤されていたのでしょうか?私自身もカフェでアルバイトや長期インターンをしているので、参考にさせていただきたいです。


コンビニバイトで今思えばイノベーションだなと思うのが一つあるんですが、先輩がお弁当を買ったお客さんに渡すスプーン・フォーク・お箸などを取り出しやすいようにレジ横に段ボールでペン立てを作っていたんです。あまりにも便利だったので、みんなで手作りをして追加していったものがレジ横にありました。そこだけでなく、バックヤードでも当たり前に工夫されていたので、僕が新米として入った時に「なるほど。仕事ってこういう風に工夫してやりやすいものにしていくんだ。それが当たり前なんだ」と学びました。

 でも、バイトが変わるとそれが実は当たり前ではなかったことに気づきました。コンビニは多くても二人のシフトなので、「この方がやりやすいよね」「そのやり方いいね」といった感じで簡単に工夫ができていたんですが、他のバイトはもっと人数が多いので「みんなの合意を取るの面倒くさいな」「仕事を言われるままやったら給料もらえるからいいじゃん」みたいに感じる人が多かったんです。プールの監視員のバイトがそのような雰囲気だったので、試行錯誤をしてみたら、みんなから「ありがとう!」と言われる機会がどんどん増えて・・・結局はそのプールの監視員バイトでは、みんなの意見を聞きながらプールの監視システム自体を僕が作りました。


プールの監視システム!宮島さんと初めて顔合わせをした際に帰りの電車で、プールの監視員での試行錯誤のお話を聞いて、「そんなことができる大学生がいるの?!」と驚いた記憶があります。笑


懐かしいですね笑 そういった経験を社会人になってもやり続けたことで、ノウハウが溜まっていきましたが、イノベーションは学校で教えてもらうことのない分野なので周囲の人は意外にみんなイノベーションをやっていないという現状がありました。前職で研究開発をしていたときに、僕の試行錯誤のスピードが桁違いに早いことを実感したり、1年ぐらいである分野で世界一になるという成功体験があったので、「この試行錯誤のやり方は僕の能力だ」と思いました。それと、新規事業開発のやり方が僕の試行錯誤のやり方と一緒だったんですよ。

新規事業界隈では僕はまだまだペーペーなんですが、これまで行ってきた試行錯誤の話をすると、みんなが「それ面白いね」とか「そうだよね」と共感いただけました。その時に、これまでの十数年間に研究開発やアルバイトで行っていた試行錯誤のやり方を、みんなが認めてくれたので自信に繋がりました。これまで社内で話しても全然気づかなかったんですが、それが特殊能力だっていうのに社外の人と話をして気づきました。


ある分野で世界一になったというのは、どの分野なのでしょうか?


すごくニッチなんですが、超音波浮上という技術のお話になります。実は60年前以上にもう確立している技術だったんですよ。振動板に超音波共振という板に超音波を1秒間に2万回とか4万回で震わせるんです。すると、そこに音圧が生まれるので振動板の上に薄いものを置くと浮くという現象がありました。誰もその技術を実用化していなかったんですが、僕がたまたまやりたかったガラス基板を浮かしながら搬送・熱処理をしたらいいというアイデアがあり、「そもそもそんな浮かせれない」と超音波業界の人は言われたんですが、僕が初心者だから「でもこうやったらできるでしょ」ってやってみたらできちゃったっていうことがありました。そして、超音波の常識を覆しました。かなりニッチな話になってしまいました・・・笑


超音波技術・・・常識に縛られない自由な発想力が非常に大切なんですね。ありがとうございます。

先ほど、新規事業とこれまで宮島さんがされてきたアルバイトでの試行錯誤のプロセスが結構似ていたというお話があったと思うんですが、具体的にどういったところが、似ていたのでしょうか。


今の新規事業開発って、技術開発というよりかは、課題解決型の新規事業開発が主流なんですよ。課題を見つけて、その課題に解決策を仮説として作り、課題が解決するかの確認するテストを行い、スピーディーに回すことをアジャイル開発といいます。この一連のプロセスをリーンスタートアップと呼びます。

そのような方式が主流で、まずは「課題を見つける」ことが必要なんです。なので、僕は色々な経験で得た知見をもとに、その課題に対して有効な解決策を提案して、小さなプロトタイプでのテストを繰り返していました。これは大学時代のアルバイトや前職の研究開発でもやっていました。

みんな仮説検証する際に、「本物を作らなければ検証できない」と思い、本物を作るのに半年〜1年かけるのですが、僕は昔からそこを簡単なプロトタイプでテストをするのが得意だったので、それが今のやり方と合っていたんです。


なるほど!まずは簡単なテストを行い、スピード感を持って課題を解決するプロセスが共通されていたんですね。



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課題発見

Fast
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簡単なプロトタイプでの

テストを繰り返す

Panasonicで数々の有志団体を立ち上げたきっかけ

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宮島さん:



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宮島さん:

宮島さんと1年間一緒に働かせていただき、新規事業以外にも、社内で様々な有志コミュニティの立ち上げや運営にも注力されていると感じました。女性社内コミュニティの“Panasonic Woman‘s Network”や転職者コミュニティの“キャリクロ”、社内起業家育成プログラム“BOOST CONTEST”などを立ち上げられるなど、多様な人が集まる繋がりの場を提供しようと思ったのは、何がきっかけだったのでしょうか?

(キャリクロについて詳しく知りたい方はこちら→https://news.panasonic.com/jp/stories/14583


繋がりの場を作るのが、実は目的じゃないんですよ。どれも実は課題解決が根底にあって、それを解決する手段がたまたまコミュニティの創出でした。


そうなんですね!では、新規事業のような考え方がもとになっていたんですね。


そうなんです。パナソニックの女子会であるPanasonic Woman‘s Networkを作ったのは、ある女性社員の方から「私のロールモデルになる人を誰か紹介してください」という相談を受けたことがきっかけでした。確かにPanasonicにはロールモデルになる人と気軽に出会える機会がないと感じ、僕の知り合いの女性社員を集めてZoom飲みをやってみたんです。そうすると、部署横断で女性社員だけ集まれる機会は初めてだったので、これいいね!という声が沢山上がり、継続的にイベントを開催することになりました。そのためのコミュニティが、Panasonic Woman‘s Networkだったんです。結果的にコミュニティが生まれたということになります。

転職者コミュニティのキャリクロも、僕自身が転職者で寂しい思いをしたのできっと寂しい思いをしている社員がいっぱいいると思ったことがきっかけです。転職者ってプロパーの人の中で発言してもなかなか説得力がないんですが、転職者の中ではかなり共感されるっていうのがあります(笑)そういうコミュニティを昔は飲み会という形で小さくやっていたんですが、その課題持っている人が沢山いたので、「それをみんなで合わせちゃったらいいや」と思い、転職者が集まれるコミュニティを作りました。


宮島さんの実体験が原点になっていたんですね。私はまだ学生で、転職者として転職したことも就職したこともないのですが、お話を聞いていて転職者の方の寂しい気持ちを少し想像することができました。宮島さんの場合だと、どのようなシーンで寂しさを感じましたか?


Panasonicの人ってパナの中が当たり前で生活しているので、それが常識になっているんですが、他社から来た人にはそれが非常識に見えることもあるんです。

それを指摘したら、「こっちの方がやりやすい」「今それで上手くいっているから新しいやり方はやらない」など、その先の世界を知らない人にその先の世界の話をしても全然共感が得られないことがありました。でも、その先の世界を知っている人には「なんでやらないんだろうね」みたいなことで共感は得られることがありました。

ちょっと変わってしまうのですが、転職者って実力があるから転職してくるんですが、人脈がなく社内の事情も知らないので、うまく機能しないことがよくあります。僕もそれで2年間苦労したんで、それを提供できたらより早く多くの人が活躍できるなという狙いもありましたね。あと、同期がいないという寂しさもあるんですよ。


同期という存在は、やはり心強い存在なのでしょうか?


そうですね。前職の同期は今でも連絡を取り合う仲です。

最初から同期という共通点がある部署横断の集まりで、前職でも同期の繋がりで社内が小さくなったので、「同期」は非常に有効だと思っていました。


なるほど。前職で感じた経験から、転職者の方みんな集めたコミュニティを作ることで、転職者の方が抱える課題を解決しようと思われたんですね。


そうですね。キャリクロ内では、「みんなバーチャル同期ですよ」と言っています


(後半に続く→https://anzai.my.canva.site/dafstspiogk

転職者コミュニティ“キャリクロ”の運営メンバーの皆様

(左から宮島勇也さん・近藤一哉さん・山田亮さん)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

後半は、新規事業やコミュニティ創出などに常に挑戦されている宮島さんが失敗を恐れない理由や

学生インターンを部下に持ったきっかけ、Panasonicだからできると考えることについてお話を伺います!


他の社員インタビュー記事はこちらから!>

第1回 井村円香さんの記事 「地方勤務で孤独だった技術職の私が社内女性コミュニティとの出会いをきっかけに

              社内風土改革の仕事をすることになった話」

第2回 武永かなえさんの記事「2つの社内有志活動に取り組む私が自らサポーターという役割を選ぶ理由」

第3回 出口隆啓さんの記事 「文系出身で本業マーケティングの私が航空宇宙事業本部長(仮)になった話」

第4回 山本真那さんの記事 「パナソニックの社内イベントを支える“MANA System”とは」

第5回 森本素子さんの記事 「神様がいた会社パナソニックの経営改革・DEIとは-組織・人材開発センター長の私がなぜDEIに取り組むのか-」


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